
初めて公開されたFX投資
マーケットで6.5%と交換されるのは6力月もののロンドン・インターバンク・レート〔これは6M/SLibor(London interbank offered rate)と呼ばれる〕だと仮定します。そうするとこの企業は6.5%のドル金利を受け取る一方で、概算ですが、Libor+50bp(50bpとは0.5%のことでした)のドルの変動金利を支払うことになります。
つまり、金利スワップの世界においてはこの企業は変動金利の資金調達として、6M/SLibor+50bpというコストを達成したことになります。次に、そのドルのLibor+50bpというコストは、円のコストとしてはいくらなのかを知る必要があります。
これを決定するのがドル・円のベーシススワップのマーケットです。ベーシススワップは2つの通貨の変動ドル・円・ベーシスのドル資金(米銀) (邦銀)金利でのスワップのことです。
ドル・円・ベーシス市場で言えば、円のLiborベーシスの資金とドルのLiborベーシスの資金との交換市場です。少し分かりにくいかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。
このドル債発行企業はドル資金を手に入れたのですから、金利スワップを行ったとすればその資金は変動金利債務としての資金です。今度はドル資金を円の変動債務資金に交換する作業を考えれば良いのです。
この交換金利がLiborという指標で表されます。普通に考えると、円もドルも素直に同じレートで、つまりLiborそのもの同士で交換すれば良いように思われます。
実は私もそれに同感なのです。ただ、ここには資本市場特有の需要と供給関係が働きます。
金融市場で需給関係が相場を支配する例外的なマーケットです。つまり実際の資本市場(資金調達市場のことであって為替市場ではありません)ではドルに対する需要が大きいために、円とドルの資金交換のマーケットではドルを持っている人に有利に働くのです。
例えば、Aはドル資金を持ちBが円資金を持っている場合にベーシススワップによって資金の交換を行ったとすれば、Aがドルの変動金利を受け取り、Bが円の変動金利を受け取ることになります。Bはドル資金が欲しいのに、Aは別に円など要らないのであれば金利に差がつくのは当然です。
そしてその場合の金利水準は、Aの受け取りがドルLibor+50bp、Bの受け取りが円Libor、というように設定されることになります。すなわち、ドル資金を持っているAの方が有利にビジネスを運ぶことができるのです。
ややこしいかもしれませんが、これがクロスボーダーの資本取引の日常業務です。結果的に、邦銀よりも米銀の方が国際資本市場では有利な立場に立つことになります。
国際資本市場では基本的にドル本位制なのです。そうしますと、先ほどの6.5%の債券発行者はドルで、Libor+50bpのコストにした後、このベーシスマーケットによって円で「Liborちょうど」というコストを実現したことになります。
これはベーシスマーケットをうまく利用した例です。実際にはベーシスマーケットは日本企業に逆風の方が多いのです。
というのも、日本企業がベーシスマーケットを利用するのはたいてい上記とは逆のケース、つまりユーロ円建ての債券を発行してドル調達をする取引が多いからです。円資金の出し手、ドル資金の取り手という立場での不利な参加者です。
また、一時的にジャパンプレミアムのような事態となって外貨借入が困難になると、ベーシスマーケットを通じて円資金をドル資金に交換する取引に頼らざるを得ません。これもマーケットの需給を一方向に悪化させることになります。
基軸通貨の強みと円の弱み米国の資本取引は基本的にドルですので、ドル・円の資金取引のニーズが自然発生することはあまりありません。日本の銀行や企業の「円資金をベースにしたドル資金ニーズ」を相殺するようなケース、すなわちドル資金で円資金を調達する恒常的な取引は少ないのです。
日本企業は海外での事業活動ではドルやユーロが必要です。どうしても調達には円での債券や借入を通じたスワップ取引への依頼度が大きくなりますので、ベーシス市場では円資金の出し手、ドル資金の取り手となりがちです。
また、日本の保険会社などが海外での運用を行う際には、外国企業が円で借り入れドルにスワップしますので、これも円資金の出し手、ドル資金の取り手としての作用が働きます。このように国際資本市場ではドルと円の資金需給が偏ったものになっています。
背景には国際資本市場での円の余剰、すなわち運用しきれない円がマーケットに余っている現実があります。しかし、この現象は通常のドル・円の為替市場や短期資金市場と無関係に発生しているのではありません。
行き過ぎたドル・円ベーシス市場の歯止めは短期のマーケットを中心に裁定取引によって行われるはずです。例えば、ドル・円のフォワードを用いた先物為替の締結によって、実質的に円資金とドル資金の交換が可能になりますし、また短期のユーロドル資金とユーロ円資金の交換も可能です。
したがって、ベーシス市場で円の出し手にあまりに不利なレートが出ても、1年未満程度の期間の取引であれば、為替先物市場や短期資金市場によって裁定されると考えても良いでしょう。この裁定が利かなくなるのは、1年を超える中長期のベーシスマーケットの場合や、信用力が低下して日本の銀行や企業がマーケットから取引されなくなる、クレジットの問題が発生する場合です。
実際に、1997年から1998年にかけて日本の金融システムが大きく揺れたときにはこの問題が現実になりました。日本の銀行がドル資金を取れなくなってしまったのです。
このような需給の歪んだマーケットを通じて日本の銀行や企業がドルの世界でやや不利な立場に置かれていることはあまり知られてはいません。しかし、ベーシスマーケットがジャパンプレミアムと密接な関係にあることを知っておく必要があります。ジャパンプレミアムは、日本が外貨資金を借りるのに上乗せ金利を払わされるという意味で使われます。
ベーシスマーケットのコストが上昇するというのは、たとえ日本円を持っていたとしてもそれをドルに交換するにはプレミアムを支払わなければならないということなのです。それを避けるためには、スポットで為替取引によって円売りドル買いを行うしかありません。
ただし、これはまさにドル・円の為替リスクを取るということですので,賢明な選択だとは思えません。有利子負債とは何かデットマーケットという言葉は耳慣れないかもしれません。
しかし、金融を知るためには是非とも熟知しておきたい市場です。日本語に無理に直せば負債市場となります。
財務に通じている人以外の方には意味が良く分からないでしょう。有利子負債という言葉が最近よく使われるようになりましたから、こちらの方が良いかもしれません。
デットマーケットとは、企業や国がお金を借り入れる際に利用する債券、融資など、株式以外の手段で調達する資本市場のことを指します。
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